ご相談いただいた会社について
業種:食品スーパー
所在地:関東
年商:50億
従業員数: 400名
社長の悩み
「店長に任せているが、各店舗で何が起きているかが見えない。」
地域に根ざしたローカルスーパーとして長年営業を続けてきたが、周辺開発により大手チェーンが進出し、売上が減少。複数店舗を抱える中で、現場の実態が経営に届かない状況が続いていた。
課題は3つあった。
プロセスセンター構想の停滞:原価低減のためにプロセスセンターを作りたいが、保健所への確認・建設業者との交渉・設備の選定など、手順が複雑で検討が進まない
人時生産性の低下:売上に対して人件費が上昇し続けており、バックヤードの出勤シフトの最適化ができていない
衛生管理の強化:食品を扱う現場として、衛生面の基準を引き上げたい
データで現場を把握し、将来の投資判断に活かしたい。そんな思いからの依頼だった。
弊社が目指した姿
製造業の改善手法をそのまま当てはめるのではなく、スーパーならではの「売れ方」に合わせた生産の仕組みをつくることを目指した。
また、社長と店長の間に情報の橋をかけることで、現場が自走できる体制づくりを並行して進めた。
現場を見て、気づいたこと
現場を観察してわかったのは、ピーク時間帯の売れ方に合わせた人員配置ができていないという実態だった。
惣菜や精肉などの加工部門では、午前中に一括して仕込みを行い、売れる時間帯に商品が間に合わないケースが見られた。「何時に何が売れるか」というデータが現場に共有されておらず、経験と勘に頼った生産が続いていた。
また、店長ごとに管理のやり方が異なり、店舗間での情報共有や横展開が進みにくい構造になっていた。
工夫したポイント
まず小さく始めることを徹底した。
スーパーは製造業と異なり、売れ方が時間帯・天候・曜日によって大きく変動する。そのため、いきなり全部門・全店舗を変えようとせず、1部門・1店舗をモデルとして改善し、結果を横展開する順番で進めた。
プロセスセンター構想については、現状把握を先行させた上で、保健所への法規制確認・建設業者との複数回の交渉・設備仕様の整理まで伴走。客観的なデータと外部の視点を持ち込むことで、社内だけでは進みにくかった検討が動き出した。
実施した改善
改善①:売れ方の見える化
レジデータを活用し、時間帯別・品目別の売上を集計・分析。「何時に何が売れるか」を数字で把握し、それに合わせた仕込みスケジュールと出勤シフトを設計した。感覚に頼っていた生産計画が、データに基づくものに変わった。

改善②:生産管理板の導入
精肉部門をモデルに生産管理板を試作・導入。当日の生産計画・実績・人員配置を見える化し、店長が現場の状況をリアルタイムで把握できるようにした。店長間での情報共有も進み、改善のヒントが店舗をまたいで共有されるようになった。

改善③:モデルラインでの実証と横展開
惣菜部門をモデルラインとして改善を実施。生産効率が向上したことを数字で示した上で、他部門・他店舗への横展開を進めた。「改善したら社員はより付加価値の高い仕事へ」のメッセージを打ち出し、パートの生産品目を増やすことで、働きがいの向上にもつなげた。
改善効果
- 生産効率 150%向上
- 作業時間:4時間 → 2.5時間(惣菜部門)
- プロセスセンター構想が具体的な検討フェーズへ移行
- 店長間の情報交換が活性化し、改善の横展開が加速
社長からいただいた声
現場の改善から、将来構想のプロセスセンターまで伴走してもらえたことはありがたかった。スーパーなので建設業者との交渉は難しいし、そこを客観的に見られる人材育成も時間がかかる。田代さんに来てもらったことは本当にありがたかった。
また、スーパー運営は店長に任せており、手を入れられていなかったが、データ等で示してもらったことで店長間の情報交換にもつながった。
特に印象的だったのは生産性アップの支援。レジデータを活用して売上の動向を見える化したことで、効率的なシフトや生産計画を立てられた。精肉部門で試作した生産管理板が非常に効果的で、従業員一人ひとりの表情が変わり、職場の雰囲気も明るくなっている。